ベルルッティはどこに向かっているのか?
50代、60代の方でちょっとでも靴のことを知っていれば、ベルルッティをご存知だろう。
高級紳士靴ベルルッティはフランスのパリで産ぶ声を上げた。今から120年以上前のことてある。
そして月日は流れ現在、LVMH(ルイヴィトン・モエヘネシー)の傘下に入り、ラグジュアリーメゾンの一員となった。
三代目当主オルガ・ベルルッティが退き、エルメジルド・ゼニア出身のアレッサンドロ.・サルトリが継いだ。
ハイダー・アッカーマンはわずか一年で交代し、今はクリス・ヴァン・アッシュが担っている。
一人目のアレッサンドロ.・サルトリまでは彼が作るプロダクトが理解できた。
三代目当主オルガ・ベルルッティへの尊敬と信頼があるものを作っていたように思う。
サルトリの服や靴はシンプルさの中に上品さを加え、ベルルッティの歴史観を表現していた。
サルトリが作ったグッドイヤーウェルトの靴もベルルッティの新たな一面を開いたと思える。
ここまでは靴に軸足があり、アパレルはまだチャレンジの域を出ていなかった。
だから、高級革靴店というイメージが残っていた。銀座店を除く各店舗は店内の8割が靴で占められていた。
私はこの空間が好きだった。ベルルッティの最大の特徴であるヴェネチアレザーに囲まれた店内は、ベルルッティの世界感を表現していた。
ベルルッティは変わった
ビッグメゾンではアーティスティックディレクターの交代は特に珍しいことではない。2、3年ごとに交代している例もある。
ディレクターが変わるたびに、あの靴屋だったベルルッティは薄れていった。私が好きだったベルルッティは姿を消した。
ほとんどのプロダクトにカリグラフィーが付けられている。わかりやすいアイコンを手に入れたのが、今のベルルッティである。
靴はイタリア製。ベルトはスペイン製。フランスの香りがなくなっていくようだ。
あまりに感傷的になり過ぎただろうか。
ファッションは決して同じところに止まらない。それは進化なのか退化なのか?
ベルルッティの変貌は、どう捉えられるのだあろうか。
ブランドの変貌をどう捉えるかは人それぞれだが、多くを求めない50代、60代のわれわれは、トレンドに惑わされず、良い物を手に入れていきたい。
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